大正浪漫を今に伝えるフランス風洋館  「萬翠荘」

当時最高の社交場として各界の名士が集った館

旧松山藩主の子孫にあたる久松定謨伯爵が別邸として建設した萬翠荘は、フランス生活が長かった定謨公の好みに合わせてつくられた純フランス風の洋館です。皇族方がご来県した際には必ず立ち寄られたという、建物そのものが美術品のような建築物です。
日本の美意識も取り入れられた外観
古代ギリシャで生み出されたコリント様式が採用された柱、優美な装飾が施されたアーチ窓など、当時のヨーロッパで流行していたネオ・ルネッサンス様式を取り入れた豪華な洋館。尖塔を片方にしか設置せず、非対称性を持たせた外観は、日本人のアンバランスの美意識を刺激するような構造になっています。
グラデーションが美しいステンドグラス
定謨公がフランスに留学するため、あるいはフランス公使館附武官就任の際に渡った海原を彷彿とさせるような、躍動感あふれる帆船のステンドグラスが訪れる人を迎えてくれます。旧島津邸、大阪中央公会堂などのステンドグラスを手掛けた木内真太郎氏の作品です。 
フランス貴族のお姫さま気分に浸れるゴージャスな空間
1階は白を基調にした華やかな謁見の間と、落ちついた黒がベースになった晩餐の間、2階は白を基調にしたシンプルでコンパクトな居室です。それぞれの部屋にはデザインの違う暖炉があり、シャンデリアやカーテン、家具などもお部屋の雰囲気に合わせてコーディネートされています。
街なかにあるとは思えぬクラシカルな雰囲気の「漱石珈琲店 愛松亭」
夏目漱石が松山に赴任した当初に下宿した「愛松亭」のあった場所につくられたカフェ。大正ロマンを感じさせるモダンなデザインの店内で食べる、愛媛の食材を使ったスイーツは格別の味わいです。かつて漱石が愛したという風景を眺められる、緑に囲まれた気持ちのいいテラス席もあります。