明治期に海運、鉱山、紡績で栄えた   八幡浜市保内地区

「旧白石和太郎洋館」をはじめ、ハイカラな建造物が残る

明治期、さまざまな近代産業が栄えた八幡浜市保内地区。往時の繁栄を今に伝える建築物があちこちに残り、その代表とも言えるのが、「旧白石和太郎洋館」。繊細なレリーフで装飾され、どこを見ても見応え抜群。周囲には同じく明治期の建物が点在しているので、レトロな建物をめぐるまち歩きができます。
八幡浜の発展に大きく寄与した由緒ある建築物
保内町本町地区には明治後期につくられ、3棟の建物が国の有形文化財に登録されている「愛媛蚕種株式会社」があります。正面玄関と両側の窓には、洋風建築の特徴的な意匠である三角形のペディメントが施されています。愛媛を舞台にした木村佳乃さん主演の映画「船を降りたら彼女の島」のロケ地としても使われました。
紡績で栄えた旧保内町の原風景
保内町本町地区の中心部を流れる宮内川のほとりに設けられた、赤レンガ倉庫から続く全長約350mのウッドデッキの遊歩道は「もっきんろーど」の愛称で親しまれ、対岸には青石を矢羽根のように積んだ美しい模様の護岸と、昔ながらの町並みが広がっています。美しい「美名瀬橋」があることでも知られています。
明治の時代から刻んできた歴史を物語る
保内町琴平地区の旧白石和太郎洋館から山側に向かって細道を上ると、赤レンガの塀が連なる小さな通りがあります。長年風雪に耐えてきた古色蒼然としたレンガ塀は、それだけでノスタルジックな感情をかき立ててくれます。レンガ塀はイギリス積みといわれる技法で積まれています。
同じ形式の橋では現役最古のもの
八幡浜市まで来たなら、足を延ばして見ておきたいのが「明治橋」。八幡浜市大正町を流れる千丈川に架かる鉄筋コンクリート下路式アーチ橋です。昭和5年に完成したこの橋は2代目で、同じ形式の橋では現役最古とされ、社団法人土木学会により平成22年度選奨土木遺産として認定されています。初代の橋が掛けられる前の河原で、少年時代の二宮忠八が自作の凧をあげたというエピソードもあります。