風と静寂に包まれる休日。伊予市「宝珠寺」と「谷上山第二展望台」へ心の深呼吸に出かけてきました


2026.10.21

1. はじめに

日々の忙しさに追われていると、ふと誰にも気兼ねせず、静かな場所で深呼吸したくなる瞬間がありませんか。そんなとき、私が見つけた最高のリセット場所が、愛媛県伊予市の「谷上山(たがみさん)」です。大谷池とともに「四国の自然100選」にも選ばれているこの山には、歴史深い古刹「宝珠寺(ほうしゅじ)」と、息をのむような絶景が広がる「谷上山第二展望台」があります。週末の朝、私はふらりと車を走らせて谷上山スカイラインへと向かいました。木漏れ日が揺れる山道を登っていくにつれて、街の喧騒がふっと遠のき、窓から入る澄んだ山の空気が頬を心地よく撫でてくれます。ひとりで気ままに、自分の歩幅で歩く旅。今回は、心がじんわりとほどけていくような、谷上山での癒やしのひとときを皆さんにも追体験していただければと思います。日常から少しだけ離れて、静かな山の世界へご案内しますね。

2. 静寂の森を抜けて辿り着く、歴史薫る古刹「宝珠寺」

山門をくぐり、木々のざわめきを聞きながら進んで古い石段を一歩ずつ踏みしめると、静けさの中に佇む宝珠寺の本堂が現れました。白鳳時代、天武2年(673年)創建と伝わるこのお寺は、境内に足を踏み入れた瞬間、ピンと張り詰めたような神聖な空気に包まれます。見上げると、市指定文化財にもなっている本堂の優美な入母屋造(いりもやづくり)の屋根が、木漏れ日を浴びてしっとりと輝いていました。木造建築ならではのどこか懐かしい香りと、時折聞こえる鳥のさえずり。秘仏であるご本尊の千手観音像にそっと手を合わせると、胸の奥にあったモヤモヤがスーッと引いていくのを感じます。さらに庫裏(くり)には、趣味人・富田狸通(とみた りつう)が壁や襖に絵を描いたというユーモラスな「狸の間」もあり、思わずクスッと笑みがこぼれました。歴史の重みと温かさが同居するこの空間にいるだけで、強張っていた心がゆっくり緩んでいきます。

3. 文人の足跡に触れる、山門前の穏やかなひととき

お参りを終えて山門前の広場へと戻ると、心地よい風とともに小さな句碑が目に留まりました。そこには俳人・正岡子規の「夏川を二つ渡りて田神山」という句が刻まれています。かつて子規が友人を訪ねる道中、川を渡りながらこの山を見上げた情景を詠んだものだそうです。遠い明治の昔、彼もまた私と同じように、この山の姿や風の冷たさを感じていたのかもしれないと思うと、なんだか不思議な親近感が湧いてきます。広場のベンチに腰を下ろして水筒のお茶を一口飲むと、喉を潤す冷たさと共に、ただ静かに流れる贅沢な時間に満たされました。近くの山頂には「愛比売命(えひめのみこと)」生誕の伝承が残る夜光井(やこうのいど)という神秘的な池もあるそうで、山全体が優しい物語に包まれているよう。誰かと話すわけでもなく、ただ歴史の余韻に浸る時間は、一人旅だからこそ味わえる特別なご褒美です。

4. 視界いっぱいに青が広がる!谷上山第二展望台の大パノラマ

お寺をあとにし、いよいよ楽しみにしていた「谷上山第二展望台」へ足を運びました。視界が開けた瞬間、思わず「わぁ……」と声が漏れて立ち尽くしてしまいました。目の前に飛び込んできたのは、言葉を失うほど圧倒的な大パノラマです。東南側には雄大な皿ヶ峰連峰がどこまでも連なり、北側を見渡せば松山市を抱く道後平野と穏やかに光る重信川。そして西側には、きらきらと陽光を反射する広大な伊予灘が広がり、遠く中国地方の島影までくっきりと浮かんでいます。展望台に立つと、海と山を渡ってきた風が全身を吹き抜けていき、日頃溜め込んでいた悩みごとがすべて空の彼方へ吹き飛ばされるようでした。春の桜や秋の紅葉も素晴らしいそうですが、ただ青い空と海をぼんやり眺めているだけで、全身のエネルギーが満ちていくのを感じます。この景色に出会えただけで、今日ここに来て本当によかったと思えました。

5. おわりに

美しいパノラマを目に焼き付け、すっかり軽くなった体でゆっくりと山を下りました。今回の谷上山への一人旅は、ただ観光地を巡るというより、立ち止まって自分の呼吸を取り戻すような、とてもあたたかい時間になりました。深い緑の静寂に守られた宝珠寺の佇まい、そして第二展望台から眺めるどこまでも広い海と空。もし今、日々の生活に少し疲れていたり、心を優しく癒やしたいと感じていたりするなら、ぜひ次の休日に谷上山を訪れてみてください。車を走らせてスカイラインを登った先には、あなたの心を包み込んでくれる澄んだ風と絶景が、いつでも静かに待っていてくれますよ。今度の週末、ふらりと出かけてみませんか。
記事投稿者:かず

記事投稿者:かず

ひめ旅部のかずです。生まれも育ちも愛媛県は伊予市。「伊予の本気」をお届けできるよう県内各地に出没中です。ひめ旅部の記事をきっかけに、カメラを持ってお出かけしていただけると嬉しいです!きっと、あなたの知らない愛媛が待っている?!